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12-3北川雅洋

株式会社 インプレスホールディングス取締役 北川 雅洋氏 第3回「人生曲線」(全4回)


1954年にグループの前身となる㈱インプレスコミュニケーションが設立されて以来なんと55年、IT業界における国内メディアソースとして複数の媒体を展開しているだけでなく、音楽業界、医療業界、デザイン業界、コミックをはじめとするデジタルコンテンツの開発などを23社のグループによるサービス事業として行っているインプレスグループ。
その国内最大規模のメディア事業戦略を統括し、統括する持ち株会社として1992年に設立された株式会社インプレスホールディングスの取締役であり、かつグループ内の㈱Impress Comic Engine及び㈱Impress Touch の2社の代表取締役兼社長と3つの要職を兼任している北川 雅洋氏に、その人生哲学を大きな視点で語ってもらうことにした。この講演に際して彼が銘打った4回にわたるテーマは「経営者やビジネスマンである前にひとりの人として」。どんなメッセージが聞けるのだろうか。

株式会社インプレスホールディングス取締役 北川 雅洋氏


第3回「人生曲線」

人生におけるmissionを発見するノウハウを様々な側面から検証し、それをもって順風満帆の人生を歩んできたかのように見える北川は、ここで現在までの半生を振り返り、それを年ごとにグラフ化したスライドを参加者に見せてくれた。

「これは人生曲線~Life curveといわれるもので、私の今までの半生をそれぞれ上下100%の幅を持たせて、その時の状況を1年ごとにまとめたものです。」

そのグラフを見ると、上下ともにそれぞれ約±80%の振れ幅のグラフが会社名とともに描かれている。ただし現在のインプレスは90%になっているところを見ると、彼の人生における今が最高という状況なのだと理解できる。

「このグラフを見ていると、過去大きく2回落ち込んだときがありますが、その時は不思議と特徴的な傾向があります。それは自分と違う価値観が大きく異なる人物の下で働いた時にそうなっていることが分かりました。その人物は日本人のときも外国人のときもありましたが、同じような人間関係の中で同じような問題がおき、そこで大きく落ち込んでいる。これは自己分析的として私の最大の『弱点』が表れていると認識しており、これを今後克服しないと、将来においても類似の問題が繰り返えされる可能性が高いと認識しています。しかし、このグラフをつけて俯瞰してみると、自分の弱点を発見、そして成長の為のヒントが隠されているのです。」

自らの人生をグラフにして分析する。私にとってその作業はある意味厳しい現実を目の当たりにせざるを得ない。自分の足りない点をしっかりと目を開いて見なければならない。しかしそれに向き合い、自己を徹底的に分析することで、強みと弱点を際立たせることにつながるのだという。
そこで彼は過去最高90%の充実感となっている現在在籍しているインプレスグループでのmissionに関してこう語った。

「このグラフを作るという作業を通じて導かれた3つのヒントがあります。
まずmission1は『人生編』。これは今までもお話させて頂いた異なる個性をつなぎ合わせてハーモニーと友情を地球規模に拡大していくこと。これは昔から目指しているものですが、なかなか達成するのが難しく、そこで落ち込むこともあります。

次のmission2は『仕事編』。自分が好きなことを仕事にしたいという意味において『メディア、コンテンツ、そしてネットワークを掛け算して、『共感』『共鳴』『響働』しながら『事業成長』を達成していくことです。

そして最後のmission3『個人編』。前述した2つのmissionを実現する為に、自分自身を磨き、関わる人々と共に切磋琢磨しながらお互いに成長し続けること。

その3つを合わせて具体的に仕事の上で何を成し遂げるかといいますと、マンガなどのコンテンツをSNSで連携し、それを世界規模で展開する。それを実現することで世界的に平和が訪れるのではないかと心から考えています。

例えばドラゴンボールが好きな子供同士はイスラエル人であれパレスチナ人であれ、その想いに違いはありません。また例えばエリッククラプトンのあの曲のこのフレーズが好き、といった感覚もマンガの場合と同様に、共感から友情が生まれる可能性があると思いますので、趣味的なテーマであればどんなものでも応用が可能です。
イスラエルの知人達は優しい人々が多いのですが、生活がミリタリー重視となっています。普段は別の仕事をしていても、いったん司令室から召集がかかれば、戦闘機に乗ってミサイルを発射するのです。そのような状況なんとかしたいという想いで、私は今インプレスで専門コンテンツ&メディアの仕事をしているといって過言ではありません。」

ただ生きるためではない。まさにmission ~使命という言葉にふさわしいものを北川は今までの人生におけるさまざまな体験から導き出した。今の封鎖的でそれを望む、望まないに関わらず余裕がない為の個人主義に傾いているこの世界において、全世界的な規模での平和を目指す、そのような壮大なmissionを掲げて公言できるのは、北川がそれを日々心がけ、実践しようとしているからにことならない。
次回の最終回では、より具体的に現在のインプレスにおける彼の事業的なビジョン、そしてビジネスにおける彼のビジネス感覚、そして彼の人生曲線において大きな振れ幅を記録したいくつかのエピソードなどに触れ、その人となりをさらに深く探っていきたいと思う。

(最終回につづく)

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