株式会社ディーバ 代表取締役社長 森川徹治 第1回 「GO GLOBAL」(全4回) 日本で2000年より本格的に導入された「連結会計」制度。企業の統廃合とグローバル化の流れのなか、親会社を中心にした子会社、関連会社のグループ化に伴う会計処理のニーズを追い風に、1997年の設立以来大手企業を中心に業績を伸ばし昨年2月ヘラクレスに上場した「株式会社ディーバ」の森川徹治。 プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBMビジネスコンサルティングサービス)でのキャリアをもとに独立、起業した同社の経営はどのような考えに裏付けられたものなのか。 株式会社ディーバ 代表取締役社長 森川徹治氏 第1回「GO GLOBAL」 印象的な社名「ディーバ DIVA」。ラテン語で「歌姫」という意味だが、そこには森川のもつ明確なポリシーが流れていた。 『弊社は企業のグローバル化に伴う連結経営会計ソフトウェアメーカーです。財務情報を中心とした経営情報を弊社のサービスを通じてできるだけ多くの人に使ってもらい、それぞれの会社の経営品質を高めることができないか、それを魅力的に歌うことができないか、という意味で、ラテン語の「歌姫」である「ディーバ」を社名にしたのです。 設立当初から勝負をするなら「Go Global 世界に打って出よう」というスローガンを掲げてやってきました。ヘラクレスに上場したのも、大阪だからということではなく、世界に出て行こうというスローガンに基づいて以前よりNASDAQ JAPAN とはお付き合いがあったがためです。』 世界149カ国にまたがる巨大監査法人プライスウォーターハウスグループのコンサルティング会社でコンサルタントとして経験を積んできた森川は、その当時から環境にも影響を受け、常に世界を見据えてきたようだ。 『メンバーは約200名弱、資本金は2億7440万円。上場企業にしては少ないといわれますが、実は意図的にそうしているのですが、IPOすることの意味を最初から3つ考えていたことと関係があります。 1つには外部牽制機能です。IPOすることにより、外部から強い牽制機能を組み込むことで、これも設立当初からの「会社は公器である」というポリシーを守ることができる。人間は往々にして老いると守りに入り判断を見誤る危険があるなかで、その牽制機能が有効に機能すると考えています。 2つめは連携経営会計というシステムを導入している多くの上場企業のお客様に対して、お客様の中に入って実際の業務を通じてR&Dを加速させる方策が最も効率的で早く、その上でIPOしておく優位性があるといったことがあります。 3つめは資金調達です。資本とは私から見れば、銀行よりも高い利率で絶対に返さなくてはならない「借り入れ」であると考えています。その考えを踏まえると、我々の実力を冷静に分析し、最も有効な資本額というのは、我々が確実に出せる利益の範囲内であるという結論に達しました。 これをしっかりと運用し増やしていくというサイクルを繰り返していく中で、市場の信用を得ることができ、それが次の投資へ結びついてこそのものだと考えると、この資本金が現時点の体力では適切であろうということから判断したのが今の資本金額だということなのです。』 ディーバというラテン語の響きとは対照的に言葉の端々に「自らを律する」ことへの非常にストイックな姿勢を感じるが、それはネガティブな要素であるというよりは「世界に打って出る切れ味の鋭い日本刀を手にしたサムライ」のイメージを受ける。 次回はそんな森川率いるディーバが生業としている「連結会計」の定義に関して彼らなりの戦略にふれてみたい。 |