第2回 倒産から学ぶ ㈱ハイパーネットでCTO(最高技術責任者)としてインターネットを安価で提供できるサービスを展開したにも関わらず、1997年にハイパーネットは倒産する。 「そのときに自分が感じたことがテックファームの経営指針としての礎になっています。」 倒産に伴う幾多の試練があったにも関わらず、筒井は次のチャレンジにその経験を活かすべく徹底的に分析を行った。その原因は何だったのか。 「資金と時間を常にギリギリで経営していたことでした。」 その頃ハイパーネットはインターネットの勃興期に沸くUS Nasdaqへの上場を見越し、かなりストイックな経営体制を敷いていた。そのような環境の中で財務判断の元、当時はまだ可能であった融資等の資金を十分に調達しなかった為、事業がうまく行かなくなったとき戦略、戦術に見直しなどの選択肢が狭まり、資本集約型であるべきハイパーシステムの運営に行き詰ったという。 また「クリティカルマスの見誤り」「Time to Market」でなかったという、約15年ほど前から彗星のごとく地球上に出現したこの業界にはどうしても避けて通れないハードルを越えることができなかったこと、BIS規制などの金融環境の影響も大きな原因であった。 「どこよりも早くサービスインすることが注目度やユーザーシェアの獲得には効果的でしたが、実際のビジネスにおいては1st playerが勝つケースはそれほどない。2番手以降のBetter player が段階的に成長していくケースのほうが多いのです。つまり、時間よりサービスそのものを良くしていく、変革していくそのサイクルが重要なのだ、と思い知らされました。」 ハイパーネットの倒産から身をもって経営の難しさを実感した筒井は、ついにテックファームの起業に際して、シンプルでありながらも自らの経営哲学を確立することになる。 |